2025/04/25 23:14

大人の寺子屋余白の授業で西村圭功さんの工房を見学しました。京塗りとは?の質問に『シャープで美しい』それを表現する為には棗の木地がコンマ7、曲げ椀はコンマ3で向こうが透ける程薄い。木地の薄さに塗りを重ね割れない椀を作る。都に集った職人の時代からの京塗り。作品のたたずまいは京の都と歴史の深さと職人の誇りを物語る。西村さんは3代目。初代は日用品の塗師。二代目はバブル全盛期、だれもがお茶を習う時代、茶道具の塗師の仕事が沢山あった。3代目が独立の頃にバブル崩壊。漆器が売れなくなる中、分業制の一職人から作家に変わることで生き残りを図る。今では庶民が手の届かない領域、料亭、お寺、美術品に。一方で庶民でも手が届くお椀を開発し弟子を育成。そこに京都の放置林の檜を使い、売上の一部を漆の木の植樹に充て、木こりの仕事も作る。漆が育つまで15年、1本からたった200ccの漆。沢山の工程を経て完成する漆器。工房の中のほんまもんが揃った道具も深い。刷毛は人間の髪、初代から受け継いだ道具。現代人の髪はあかんとのこと。朱色には今では1社しか作れなくなったほんまもんを使う。代替品もあるが、400年後に色が残っているかどうか、実績が無いから使わない。工房の畳に置かれた朱色のお腕が放つ漆の光、プラスチックには無い独特の輝きが目の奥に焼き付いたまま工房を後にした。いつの間にか日が落ちて暗くなっていた京都の町は少し肌寒く感じた。
工房からの帰り道、漆器は特別な日の特別な物ではなく日常品になれば良いと思った。日本人はお茶の稽古を必須にすれば良い。お茶は日本文化の裾野が広い。日本建築、庭、器、懐石、御菓子、掛け軸、着物、おもてなしと繊細な心。
明治時代の欧米に追いつけの精神が日本人には未だに残っているのか、戦後に受けた外国の影響がまだ残っているのか。日本文化を私たち日本人は無意識に自ら手放している気がする。文化を失えば日本が日本で無くなる。自国の文化がちゃんとあるからこそ外国文化に触れるのが楽しい。ハイブランドも品質は良いのだろうが、そんなにかっこええかとは思う。一人一人が欧米に使うお金を日本文化の体験に回し、日本の家計の金融資産1000兆円を銀行に置いても仕方ないから日本文化に使って欲しい。この国はもっと良くなるに違いない。
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